信頼を取り戻すために

信頼を取り戻す

会社での人間関係について、「自分のミスがきっかけで関係が悪くなった」とご相談される方がいます。
明らかに自分のミスであり、きちんと指導も受けていた場合です。

「謝ったのに許してもらえない」「嫌われたように感じる」「何度も謝ったのに関係が戻らない」──そんな風に感じている方も少なくありません。

しかし実際には、“失敗そのもの”ではなく、
謝罪の仕方やその後の振る舞いが関係悪化の原因になっていることもあります。

また、実際には嫌われていないのに、「嫌われた」と思い込んでいるケースもあります。

これは会社に限らず、あらゆる人間関係に言えることですが、謝罪の基本はシンプルに徹すること。

相手からの質問にはきちんと答えた上で、必要な説明が終わったら、
「申し訳ありませんでした。以後、このようなことがないよう十分気をつけます」

これだけで充分です。

どれだけ長く理由や反省を述べても、相手にとっては“迷惑をかけられたうえに時間まで奪われる”ことになりかねません。
だらだらと言い訳を続けるより、まずは簡潔に謝罪し、今後の改善について伝える方がずっと効果的です。

信頼できる人に対して「やたらと長く話す人」という印象はないですよね。
謝罪も同じです。

信頼を取り戻すのに必要なのは、言葉の多さではなく、謝罪後の行動です。

そして、関係が悪くなったように見えるとき、それは「相手が怒り続けている」のではなく、
「自分が、相手から不快に思われている“時間”に耐えられなかった」という場合も多いのです。

自分のミスで迷惑をかけたのは理解していても、相手が以前のように笑顔で話しかけてくれないからといって、
萎縮したり、オドオドし続けたり、「反省してます…元気もありません…」といった暗い態度を取り続けると、
かえってその雰囲気が新たな不仲のきっかけになるかもしれません。

早く以前の空気に戻りたい──そう思うのは当然ですが、相手が無視したり怒鳴り続けているのでなければ、
それは単に「自分が気にしすぎている」だけという可能性もあります。

そっけなく見えるのは、忙しくて余裕がないだけかもしれません。

仮に相手が本当に怒っていたとしても、迷惑をかけたのは事実です。

失敗の度合いにもよりますが、「いつも通りではない時間」がしばらく続くのは、ある意味自然なことです。

また、「嫌われた」と思い込みやすい人には、普段の行動パターンも関係しています。

遅刻や欠席が多かったり、日頃からルーズな印象があると、相手からの信頼が薄くなり、
自分でも「信用されていない自分」を意識してしまうことで、「怒られている」「嫌われている」と感じやすくなるのです。

大切なのは、同じ失敗を繰り返さないことに日々気をつけること。
それが本当の意味での“反省”であり、遠回りに見えて信頼を取り戻すいちばんの近道になるのです。

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