親と子の相性

「同じように育てたのに、なんでこの子だけは」と言う親御さんがたまにいます。

他の兄弟と比べ、一人だけ問題があると言うのです。

子供にも問題があるのだとしても、親が「同じように育てたのに、なんでこの子だけは」と思っているのなら、その考えも問題です。

親子にも相性はあり、親好みの子、理想に近い子、そうでない子もいます。それを理解していれば子供の個性を認める事もできるのですが、自分の理想とは違う、相性が悪い、それを親が認められないと問題が起きることがあるのです。

このような考えをなぜ認められないかといえば、認めてしまうと
「子供を愛していない事になってしまう」「親がそんなこと思っちゃいけない」

と考えてしまうからかも知れません。大切に想う気持ちは他の子と同じだからこそ認められないのかも知れません。

親と相性のいい子と悪い子、それはその子の性格もありますが、性格は生まれた順番、その時の親の状況や環境によっても変わります。

『みんな同じように育てたのに、どうしてこの子だけは?』と言っても、兄弟姉妹は生まれる順番が違うだけで、当たり前ですが家族の人数や親の忙しさなどの環境が違います。

全く同じ環境でもないし、同じ対応もできないので「みんな同じ」には育てられないのです。

相性の悪さに気付かない、認められないと、相性の良い子供とは意思が通じ易く扱いやすいのに、

相性の悪い子には『タイミングが悪い子だ』『ワガママだ、変わってる』『なんでこの子は分かってくれないんだろう?』など、子供に問題があると思い、その気持ちは親の顔や言葉に出てしまうことがあります。

そうなると相性の悪い子は「親に認めてもらう(好かれる)」為に必死になります。

親の目を自分に向かせようとしたり、好かれようと行動しますがそれがまた相性の悪さから空回りし、親を困らせたりイライラさせてしまうこともでしょう。

「認めて欲しい」「こっちを向いて欲しい」との想いは、子供の中で無意識に「自分は受け入れられない存在」「我儘」「人より劣っている」と認識します。

その子にとっての「喜び」が親の好みの喜びではないからと無関心だったりすると、子供は「自分の喜び=あまり良くない事」だと認識し、自信が持てなくなることもあります。

親からすると大切に想う気持ちは変わらないので、その子の”普通の状態”や”小さな喜び”に対しては無関心でも、嫌なことが会った時だけは注目したり、変に甘くなる時があったり、叱らなくてはいけないところで言うことを聞いてしまったりすることもあるでしょう。

そうなってしまうと、子供は「愛情」がどんなものか分からなくなります。自分に対して「ただ甘い存在」を愛情がある人だと思ってしまうこともあります。自分を無条件に受け入れてくれる存在に出会っても『そんな人間がいる訳ない』との思いから、相手の愛情の限界まで挑戦するような行動を起こし、自らその関係を破壊してしまったりする子もいます。

「子供達を全く同じようには育てていない(無理)」「相性はあまり良くない」と認めてしまったほうが「この子とは気が合わないかも。でも大切な子だ」と、親も自分の気持ちに自信も持て「私はこれは好きではないけど、この子はコレが好きなんだな」と認めることができ愛情も伝わり易くなります。

気は合わなくても、相性は悪くても可愛い子供。子供が自分に自信を持って生きられないことは親にとっても辛いことです。
子供に愛情を確信させる、それは親(自分)の為でもあるのです。

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