人を愛せない、信用出来ない

*ご本人の承諾を得てます。

 女性 30代前半 未婚
【相談内容】
 人を愛せない、人を信用出来ない、どの交際相手にも突然怒りが湧いてくる。

 催眠療法希望

ご職業は同業者のカウンセラーさん。催眠療法は未経験だそうです。


問題の原因がわかる場面に行けるよう誘導

最初に出てきた場面は小学校の体育館。

*クラアントさんをAさん、幼い頃のAさんを『Aちゃん』とします。

六年生が入学式のお手伝いをしている場面でした。

Aちゃんは六年生です。一年生の女の子の手をひいてます。
一年生の女の子が自分に手を繋がれ嬉しそうにしています。
でもその一年生の子に対し、Aちゃんは『ムカつく』と言います。

「どうしてそう思うの?」
『だって嬉しそうにすれば、こっち(A)が喜ぶと思ってやってるんだよ』

怒るAちゃん。
その後も一年生の女の子に話しかけられても無視したり、意地悪をしたそうです。

『ウザい』

なので現在、2009年のAさんから見て、その一年生の子は本当にそんな裏があるような子なのかを見てもらいました。

『違います。素直に私と手をつないで喜んでいます』

「何故それをAちゃんは嫌がるのですか?Aちゃんの心を覗いてみて下さい」

『私と手をつないだだけで素直に喜ぶこの子(一年生)にとまどっているようです』

この一年生の子に対して冷たく当たってしまっても楽しくはなさそうなので、
催眠状態の中でAちゃんに一年生の子に優しくするよう誘導しました。

なかなか応じてくれなかった為、現在のAさんに説得してもらい一緒に連れ添い話しかけてもらいました。


【なぜ素直に喜びを表す人が信じられないのか?】原因が分かる場面まで年齢を下げます

Aちゃんは二年生です。

お母さんとお姉さんとAちゃんの三人で父方の祖母の家に向かう為、お母さんの運転する車の後部座席にいます。

『お姉ちゃんが足を蹴った』
突然Aちゃん(Aさん)は泣き出します。


Aちゃん一家はお父さんの命令で、毎週日曜日は欠かさず片道二時間かかる父方の祖母の家に行っていたそうです。
お父さんは仕事があるので行きません。

その日も朝からお母さんとお姉さんAちゃんの三人で祖母の家に向かっていたそうです。

Aちゃんのご両親は青果店を営んでいて、毎日働いているお母さんは休む事も出来ず、お姉さんとAちゃんは日曜日は友達と一切あそぶ事ができません。

それが毎週欠かさずだったそうです。みんな不機嫌で黙ったままの車中がいつも辛かったそうです。

『行きたくないってママに言うと、ひっぱたかれるから言えない。お誕生会も行けないし、してももらえないの』

お婆ちゃんは三人が訪れても嬉しそうにしてくれる訳ではなく、お母さんは庭掃除等の雑用をします。

お婆ちゃんの家の離れには、お父さんの妹さん家族が住んでいて、お婆ちゃんは従姉妹には優しいけど、Aちゃん姉妹とはあまり話しもしてくれず、Aちゃん達が敬老の日にプレゼントした手作りのお花もAちゃん達の目の前で捨てたそうです。

毎週実家に行く理由は、お父さんがお婆ちゃんから『長男は実家に顔を出さなきゃいけない』と言われていたからだそうです。

お父さんはおばあちゃんに一切口答え出来ず、自分は実家に行きたくないので仕事を理由に行かない。

三人がお婆ちゃんに対して嫌な顔をすると、お婆ちゃんからお父さんに報告があり、誰かがお父さんから殴られるのでみんな不機嫌な顔も出来なかったそうです。

その日はお姉さんがどうしても友達と遊びたかった日でした。ですがお母さんに頼んでも聞いてもらえず、イライラしたお姉さんは車の中で無言でAちゃんを蹴ったそうです。

Aちゃんは泣けばお母さんに叩かれるから泣けなかったそうです。

子供達はお母さんに口答えするとお母さんに、子供達とお母さんは、お父さんに口答えするとお父さんに殴られたそうです。


催眠中のイメージの中で、お父さんやお母さんに辛かった気持ちを伝えるように言っても、A子ちゃんは怖がって言えません。

なので現在のAさんから当時のお母さんに気持ちを伝えてもらいました。

するとお母さんはこう答えたそうです。

『普段から優しくしなかったのは、少しでも優しくすると子供達が文句を言いやすくなってしまうから出来なかった。毎日疲れてて余計な事を考えたくなかった』

お父さんはというと、現在のAさんの話も聞いてくれないそうです。
なので今は大人しくなっているという現在のお父さんに現れてもらい、【現在のお父さん】から【若い頃のお父さん】に意見してもらいました。

現在のお父さんは『俺は今、家族に対して申し訳ない事をしたと本当に後悔している。お前(若い自分)も悪いって思っているはずだ』と、若い頃の自分に怒鳴ったそうです。

その光景を見ていたAちゃんは『自分の味方が現れた』と感じたようで、とても嬉しそうにしていたそうです。
(※これらのイメージは全てAさんの中から浮かぶことです。)



Aさんが人を愛せない原因は、
Aちゃんは幼いながらに、自分も辛かったけど両親や姉の辛さも理解していていました。
今でも家族を愛してますし、今は穏やかになった両親から愛されていると分かっています。

ですが潜在意識(無意識)の中では【愛情】だと記憶しているものは【愛している者にはひどい仕打ちをする】でした。

【甘える】も、【甘えとは、強い者が弱い者に対してするもの】と認識していました。

なので一年生の子に頼られた時は嬉しかったのでしょうが、自分が一年生の子に対し「愛しい」と思った瞬間、【イジメなくてはいけない対象】に変わってしまったのです。

「素直に愛情表現する者」に対しては「これは愛情じゃない」と思ってしまうため友人や交際相手と上手く付き合えなかったのでした。

今回は施術中に【記憶の書き換え】を多く行っています。

これにより実際に過去が変わった訳でなくても間違った認識を直す効果があります。
問題の原因を知り、両親を『許す』のではなく『気持ちを理解する』だけでも傷付いた心は癒されるのです。

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