*ご本人の承諾を得ています。
女性 50代前半 既婚 子供1人
職業は伏せますがバリバリのキャリアウーマン。収入はご主人より多い。
【ご相談内容】
半年くらい前から、めまい、激しいイライラと不安感が交互に繰り返し襲ってくる。
病院で心療内科を勧められたが抵抗がある。
原因が全く分からないとおっしゃるので、ご希望の退行催眠(催眠療法)を行うことに。
今の悩みのきっかけとなった場所が分かる場所へ移動するよう誘導
最初に出てきたシーンは小学生の時。Aさんはお母さんとデパートにいます。コートを買ってもらったそうです。
『ああそうだ、そうだった、私はコートは欲しくなくて、ジャンパーみたいなのが欲しかったんだ』
Aさんはコートを学校に着て行くのが、友達から『気取ってる』と思われそうで嫌だったそうです。
自分が気に入ったジャンパーも欲しかった。
でもお母さんに押されコートを買い、嫌々学校に着て行ったところ意外と友人からの評判が良かったそうです。
この後出てきた出来事から分かったことは、自分の考えよりも『お母さんの選ぶ物事が正しい』との思い込みが強いことが分かりました。
お母さんの意見が正しいと思うだけでなく『自分の感覚はあてにならない』『人から評価されているものが正しい』とも認識していました。
次に、体調の悪さの原因になったものが見えますと誘導
すると、出てきたものは『携帯電話』でした。
私もAさんも意味が解りません。
「 私が今から数を逆に三つ数えます。するともっと具体的にわかりますよ」
『 電話番号を変えた・・・あっ、 』何か浮かんだようなのですが、Aさんは言うのを一瞬ためらいました。
「 何が見えました?言いたくなければ言わなくてもいいですよ」
途端にAさんは激しく泣き出しました。しゃくりあげながら「私は最低の人間だ」と言います。
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Aさんには高校時代に好きな人がいたそうです。
彼はとても貧しい家庭で、学校での態度も悪く評判も良くありません。でもAさんはなんとなく彼に惹かれていたそうです。
自分の感覚に自信を持てないAさんは『 なんとなく 』になってしまったのでしょう。
ほとんど話した事もないのに、ある日 友達を通じて彼から手紙をもらったのですが、複雑な気持ちから「いらない。返してきて」と言ってしまったそうです。
それから数年後に同窓会があり、偶然彼と席が隣になったそうです。初めてたくさん話し、当時まだ携帯電話の普及率が低かったからこそのノリでお互いの携帯番号を交換したそうです。
連絡をし合うようになり、彼から食事に誘われるようになりましたが、道徳心の強い彼女は『いけない事だ』と思い、断り続けていました。
けれど「疲れが溜まっちゃって」と彼が言っていたことを思い出し、「彼を救いたい」と思ったので、栄養管理の本を渡す為にあったそうです。それからも健康についての本を何冊も渡したり、体調を伺ったり、いつも”彼が心配だったから”会っていたそうです。
すると段々と彼からの返信が遅くなり、何度メールして返信は来なくなり電話にも出てくれなくなったそうです。
それから数年経ち、なぜ嫌われたのか?なぜ連絡を絶たれたのか?まったく分からず、考えたくないので仕事に専念するようになり彼の事は忘れた・・と思っていました。
そして半年前(体調が悪くなり始めた時期)、ご主人が使用する携帯電話の会社に家族全員合わせようとの話になり、ご主人は彼女に番号ポータビリティを勧めたそうですが、彼女は「お金がかかるなら番号が変わってもいいよ」と電話番号を変えてしまったそうです。
『 私は、心のどこかでいつか彼に会いに行く為に仕事を頑張っていた。その為に子供も1人しか生まなかったんだと思う(離婚し易いとの理由から)。仕事をするのに家族に沢山迷惑をかけた、それなのに私はずっと家族をだましていた』
なので自分の事を『 最低な人間だ 』と思ったそうです。
Aさんは「彼の事は忘れていた 」と本気で思っていました。なのに潜在意識(無意識)では彼を生きる糧にしていたのです。
それを知り、彼女自身とても驚きショックだったようです。
『 携帯電話の番号が変わってもいい 』と思ったのは、どこかで彼を「忘れたい、忘れなきゃいけない」との気持ちもあったのでしょう。
ところが いざ番号を変えてしまったら『彼からの連絡は永遠になくなる』と無意識の中で思い、それが無気力、イライラ、不安を引き起こし体調不良に繋がっていたのでした。
顕在意識(頭でわかっていること)潜在意識(無意識)の割合は顕在意識1: 潜在意識9と言われています。なので悩みの原因がわからないのも仕方なく、正体がわからないものとは向き合うことも、闘うことも出来ないのです。
施術後のカウンセリングでは、彼のことが好きなことが分かったが、それは悪いことではなく仕方のないこと。
『彼の元へいく!』と言っても、彼の意思だってあるし、今の生活もあるから冷静に考えれば難しい。
本当に彼との生活を求めていたなら自分から連絡していたかもしれない。
「いつか彼に会う為」も、それが原動力の一つになっていたかも知れないが、それだけではなく仕事が好きだったということもある。仕事で家族に迷惑をかけた事もあるかもしれないけど、その収入で家族が潤ったのも事実。
子供が一人というのも、それは夫婦の問題なので、旦那さんがもっと子供が欲しかったなら欲しがっていただろう。ということを理解されました。
落ち着いたAさんは彼のことを説明する時、「家柄も良くないのですが本当に・・とにかく私にとっては素敵な人でした!」と、一瞬回りくどい説明をしようとして止めました。自分の感覚でいいと思えたのでしょうね。
後日、またカウンセリングのお申し込みがありました。
ご相談内容は、彼の電話番号は消していなかったのでショートメールで一言謝りたい、元気でいるのかだけ知りたいということでした。
返信は来なくてもいい、けどどんな返信がくるのか恐いと言います。なので話し合い、彼を心配して連絡しているスタンスはやめ、返信は望まない、ただAさんの素直な気持ちとして
「○○です。お久しぶりです。元気ですか?元気でいてくれたら嬉しいです」とだけ送ると、すぐに彼から返信が来たそうです。そして短いやりとりを何度かし連絡は終わったそうです。
ご報告のお電話をいただき「(嬉しくて)もう死んでもいい!これでやっと忘れることができるような気がします」と仰っていました。体調不良も治り、とても元気になったそうです。