自分が悩んでいると思っている事と、本当に悩んでいる事は違うことが多いのですが、
今回のクライアントさんも全く違っていたので、とても驚かれていました。
*ご本人の承諾を得てます。
30代後半 会社員 女性 既婚
【ご相談内容】
○あがり症を直したい
○人前で堂々と話せるようになりたい
催眠療法希望
クライアントをAさんとします。
今の会社に勤めて十数年。
この会社に勤めながら、最近知り合いに紹介された仕事も始めました。
あがり症を治す講座を受けても効果がなかったと言います。
新しい仕事では、会社の商品(サプリメント、化粧品、等)の説明を大勢の前でする為、
その時に「あがってしまいそう」だから直したい。
あがり症を治す講座は効果がなかったのではなく、効果がなさそうだと思ったので不安なのだそうです。
まだ一度も大勢の前で話していないのに、最初からあがらないようにしたいと仰います。
悩み事の原因がわかる場所へ行くよう催眠誘導します
最初にAさんの中に浮かんだのは、五年前まで同僚だった女性でした。
Aさんは「なんで彼女が??」
不思議がりながら彼女について話します。
その女性は結婚し、現在は海外で暮らしているのだそうです。
「仕事は出来る人なんだけど、世渡り上手で、いつも嫌味や自慢話ばかりする人で苦手でした」
彼女が出てきた意味が分からないというので
なぜ、この昔の同僚が出てきたのか、理由がわかる場所へ移動するよう誘導
小学生~中学生の時の場面が細かく沢山出てきました。
Aさんのご両親は飲食店を営んでいるそうです。
ご両親は2人ともお金がある時には必要以上に使い、
お金がない時はその日の売上から材料を買い、その日の営業を続ける日もあるそうです。
出てきた場面のひとつに、
Aさんと弟は、お父さんの希望で ある習い事をしていたそうです。
お父さんは月謝の支払いを滞る時が多く、
その度に先生は他の生徒の前で小学生のAさんに嫌味を言ったそうです。
でも先生は、迎えに来るお父さんには何も言わなかったそうです。
それからも思春期のAさんは、お金がないことで恥ずかしい思いや、悔しい思いを沢山して
お金が足りなくて友人との約束を断らなくてはいけない時もありました。
大学生の頃がバブルの時代で、周りの友達は裕福な子がいっぱいいて、
お金を好きに使えたり、親に何でも買って貰える人が多かったそうです。
周りの友達は皆、驚くような価格の洋服やバッグを持っていたけど、
Aさんのバイト代では皆に追いつけず、それがとても辛かったそうです。
習い事の先生や、ご両親をイメージの中で出すように誘導
イメージの中の先生やご両親に、当時の気持ちを話します。
先生には
「どうしてお父さんではなく、私に月謝のことを言うの?しかも他の生徒の前で。
子供が悪いわけではないのに、子供がどんな気持ちになるかわかる⁉︎」
イメージの中の先生は
「ごめんなさい、お父さんには言いにくかったし、子供が嫌な思いをしたほうがお父さんも月謝を遅れないように支払ってくれると思ったから」と答えました。
お父さんとお母さんは、イメージの中ではニコニコした二人が出てきたそうです。
Aさんは
「文句を言おうと思ったけど、お金がなかっただけで、良いことも沢山してくれたので何も言いません」
Aさんは「お金がない事によって辛い思いをした」と思われる出来事のせいで、
自分にふりかかる嫌な出来事は全て「お金がなかったから」
Aさんが羨む人達に起こる良いことも全て「お金があるから」…と思いたい、と思っていた事が分かりました。
その思い込みが分かった後で、また昔の同僚女性が浮かびました。
するとAさんは、
「え…こんなくだらないこと…」「あぁ、そうか…」
何が見えたのかをお聞きすると
この同僚女性は、Aさんの今までの思い込みをくつがえすような人だったそうです。
この同僚女性は、働きながらご両親の借金を返していたからか、派手な人ではなかったそうです。
”なのに”エリート男性と結婚したそうです。
彼女の結婚式も、結婚してから海外で生活するのも、Aさんの憧れの結婚生活そのものだったと言います。
「自慢話ばかりする人」だと思っていたのは、
元同僚女性は事実をそのまま話していただけなのに、Aさんが羨ましがっていただけでした。
「世渡り上手」だと思っていたのは、両親の借金の話も、会社でお金の話になった時に
「私は親の借金を返すの手伝ってるから」と恥ずかしそうにもせずに皆の前で言ったのが、
Aさんにとっては信じられなくて、皆の同情を引こうと思っていると思ったそうです。
ハキハキとした話し方が無神経で苦手だと思っていたけど、
その話し方も本当は羨ましく思っていたことに気がつきました。
『どうして親がお金持ちでもないのに、堂々とした性格に成長できているのか』
『どうして華やかでもなかったのにあんな人(エリート)と結婚できたのか』
それが本当に不思議だし、許せないような気持ちになったそうです。
顕在意識では忘れていた元同僚女性を、無意識の中では彼女が退社してからも、
Aさんはどこかでいつも意識し続けていた事に気がつきました。
「うらやましい」という思いを認めることが出来ず、「許せない」や「負けたくない」と言う気持ちになっていました。
そして「お金持ちになれば彼女に勝てる」→「金持ちにならなきゃ」→「もっと仕事をする」と考えていました。
でも新しい仕事は最初に資金がかかったので、ご主人には内緒にしているので、それが辛い。
「主人と居たら(ご主人の収入では)に早く勝てない」という思いと、
「でもこんな風に思っているのは主人に対して失礼だ…」との想いもあり、
新しい仕事に進む事は、ご主人との幸せを否定するようで「進みたくない自分」も居ました。
そんな自分を振りきりたい為、焦って新しい仕事に没頭しようとしていたのに、
大勢の前ではあがってしまうのではないかと不安になった。
ここでAさん自身をAさんの心の中に、もう一人のAさんを呼んでもらい、
現実のAさんには分からないことをイメージの中のAさんに質問します。
「あがる理由」を聞いてみました。
するとイメージの中のAさんはこう答えました。
「皆の前で発表をする為には友達を集めなくてはならないのに、問題を起こした他のネットワークビジネスと同じに思われたら嫌だから友達に声をかけたくない。それでは人を集められないので…その言い訳にしてる」
友達に声をかけたくなかったので、「あがるだろうと思いたがっていた」という事が分かりました。
「では、友達に声をかけられるようにするには、どうすれば良いですか?」と質問すると、答えは、
「もっと商品と会社を知り、自分自身が納得したのなら友達にも声をかけやすくなる」でした。
施術が終わった後のお話では、
「昔の同僚なんてすっかり忘れていたと思っていたのに、今思うと確かに何をやるときも彼女を意識していたような気がします。新しい仕事は、確かに商品について勉強するように言われていたのに、全然やっていませんでした。友達に声をかけられるようになるか分からないけど、やるだけやってみます。」と仰っていました。
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顕在意識では「あがり症を治したい」と本気で思っていても、潜在意識が思っていたものは「お金にまつわる思い出」から「元同僚を意識していた」「ご主人への罪悪感」「友達に声をかけたくなかった」でした。
このように、本人が悩みだと思っている事と本当の悩みは違うことが多いのです。