『 この人は私のように悩むことなんてないのだろう 』
『あの人はいつも楽しそうだから、悩みなんてないんだろうな』
芸能人や知り合いを見て、そう思う人もいると思います。
私もクライアントさんから言われることがあります。
「先生は悩みなんてないですよね」
私の話をすることはないのでそう見えるのでしょう。
ある日も、お嬢さんのことが心配で 口を出し過ぎてしまうというお母様から、
「先生は、お嬢さんのことでこんな風に心配し過ぎたりすることはないですよね。」と言われました。
なので「全然そんなことないです。昔は 娘の帰りが遅くて連絡が取れないときなんて、いつも頭の中で『 シャブレイプシャブレイプ 』がグルグル回っていました」と答えました。
すると、何のことだか分からなかったのか一瞬キョトンとされてから、
「やだ〜本当ですか⁉︎ 全然そんな風には見えないです!でもそれ凄く分かります!」
大笑いされました。
(シャブレイプシャブレイプとは、娘が誰かの手により薬物や暴行の被害にあったらどうしよう、という心配 )
後日、「先日のカウンセリングから、娘の事が心配になると先生のシャブレイプシャブレイプを思い出し笑ってしまうようになり、気が楽になりました」と仰っていました。
何が役に立つか分かりませんね。
クライアントさんからは「器が大きい落ち着いた人」みたいなことを言われることがあります。
これを私の身近な者が聞いたら爆笑するでしょう。
なのでそう言われた時にはいつも「 私ですか? 私なんて悩みのデパートですよ」と答えています。
「本当ですか? 全然そんな風に見えないです」と言われるので、
「自分の思い通りにならないことなんて勿論あるし、真剣に想うものがあれば悩みは尽きないと思っています。
それに私は欲張りなので悩むことも多く、悩むことを悪いことだと思っていないので、悩み、考え尽くすので立ち直るまでの時間が早いだけです」と答えました。
会う人すべてに「私、悩んでます」と言う人なんていません。
人が何をどう経験してきたか、いま何かに悩んでいるかなんて他人からは分からないのは当然なのですが自分が悩んでいる時には、楽しそうにしている人をみて「この人は自分のように悩むことなんてないんだろうな」と思えてしまうのでしょう。
特にSNSでは、中には愚痴や痛い話や暗い話ばかりの人もいますが、明るい投稿が多いのでそう見えるかもしれませんが、
楽しい辛いことがあるからこそ自分を楽しませたくてSNSをしている人もいると思います。
悩むとは辛いことですが『このままじゃ嫌だ、どうにかしたい』という向上心の別の表れでもあるのです。
カウンセリングを知らない人から、この仕事は「悩んでいる人の悪い気をもらって疲れるでしょう?」なんて言われることがよくあるのですが、それは全く逆で、どんな辛い悩みがあろうと、『お金を払ってでもどうにかしたい』『解決する訳ないだろうけどダメ元でもいいから何か試してみよう』という前向きな人でしかないのです。
悩むことを避け、見ないようにしても問題は長続きするばかりですし、「悩む自分が嫌だ、駄目だ」と思ってしまうと「悩んでいる自分は駄目だ」というその思いで余計に落ち込み、物事をクリアに考えられなくなってしまうのです。
今日もクライアントさんに「悩みなんてないですよね」と言われたので、いつもの「いやいや、私なんて悩みのデパートですよ」を言いました。
「全然そんな風に見えないです。悩みのデパートって懐かしいフレーズですね、久しぶりに聞きました」と言われました。
私は「 確かに古い言い方ですね〜!」なんて笑っていましたが・・・
クライアントさんが帰ってから、
古い言葉・・・恥ずかしい!
古い言葉、古い、古い人間、ババア、、
しばらくの間ウジウジして、その日から「悩みのデパート」は一切使うのをやめました。